ハレの日も ケの日も

推しを愛して自分を満たす、その記録です。

さぁ、盛大にクラッシュする準備は整った

「クラッシャー女中」大阪公演が無事終了し、とうとう島根広島2公演を残すのみとなった。寂しい。このお祭りのようなハレの日々も終わりが近づいている。日常である褻の期間があるからこそのハレ。粛々と、日々をこなしてハレの日を待ちわびるあの期間にまた戻るんだな…。(突然ここでブログ名を決めたわたし)

 

さて、広島での大千穐楽を迎えるまでに、初回観劇後にはフワッとしていて、4回目の観劇後にくっきりとしてきた、私の思いをふたつ。

 

 

◾️義則、産んでやりたい。

 

27歳の義則にはね、ほら、性的なものしか感じないんだけど、ていうかそれだけであって欲しいんだけど、…なにしろ彼のバックボーンは考えれば考えるほどしんどい。結局義則の言動は全て 物理的に父親から、精神的に母親から虐待されて育ったことに由来するでしょ…。

 

例えば「愛する婚約者が泣いており、なぜか幼馴染である華鹿男に抱きしめられている」という状況でもまず駆け寄るのは部屋を勝手に抜け出てきた母親の元なんだけど、それは母親がより大切だからではなく「一刻も早く母親を部屋に戻したい=自分が婚約者に嫌われそうな要因を隠したい。」だもんね。嫌われることを何よりも恐れているんだよね。

 

花代に対するドSの態度だって、花代は冷たく罵られることが好きだから。

私の大好きな花代の台詞「やめたいですぅ〜」から始まるシーン。義則は花代に突然声を荒げるけど、あれはイライラしたり感情的になった訳ではなくて、花代が望んでいることをしただけ=花代へのご奉仕。(実際、花代に怒鳴る時と最後の山場でゆみ子に喚く時、義則の感情の剥き出し方は全然違う)

結局花代が喜ぶものを与えることで自分から離れないよう支配する、それが義則の生きる道。

 

クリスマスの朝の場面、義則は12歳のはずなんだけど成人男性が演じるためか 幼さを強調するお芝居になっていて、そのせいで義則と自分の5歳の息子が重なってしまうんだ…。サンタからのプレゼントを報告したのに、母親に素っ気なく流されたあとの義則。倫也さんのそこでのお芝居はそれこそ公演ごとに違うんだけど、全部、全部突き刺さる。あぁ…なんて、なんて表情を。聞いて欲しかったね、「よかったねぇ」って、喜ぶ自分を認めてほしかったね…あぁ、私が母親になってよしよししてやりたい…!!

 

……。

義則を語る上でもうひとつ、外せない台詞とシーンがある、うん、あります。あそこの倫也さん、本当に素晴らしい。一番、抉ってくる。でも、これはまだ、私の中で消化できない。どうしても、まだ書けないのでここでも割愛。

 

他人様の虐待について云々言ってる間に自分の育児を省みなさいよ、って話ではあるんだけど、私の子育てなんてとても褒められるようなものでないかも知れないけど、でも、義則を、産み育ててやりたかった…。嬉しいことを報告してくれたら全力で一緒に喜んでやりたかったよ…。

 

 

 

◾️女中 桃代、そしてクラッシャー女中

 

さて、結局「クラッシャー女中」って、ゆみ子ではなく桃代の事?…ってところまではツイートしてたんだけども。

 

・劇中に出てくる女中は 桃代、花代、そしてゆみ子の三名。この三名は物語の語り手としての役割も担うんだけど、最初から最後まで女中であるのは桃代だけ。

・舞台である小笠原家のお屋敷のセット、ところどころ塗り残しがある。「大道具です」と言わんばかりに。

・桃代の台詞「私の見た目が変わらないのはつまり、演劇の嘘でございます」いや、見た目が変わらないのはほかの人物も同じ。桃代にだけ言及したのは?

・最後のシーン、最後の会話が終わった後、義則とゆみ子がなぜか客席に背中を向けて舞台後方にいる桃代に向かってお辞儀。

・カーテンコール時、順々に登場人物が出てきて最後は義則、そしてゆみ子。全員が揃ったところでなぜか中心に移動する桃代。桃代の指揮で上手、下手へのお辞儀。その後みなが去っても舞台に残る桃代。客席の照明が徐々に明るくなり、舞台と同じ明るさになったところでゆっくりと去っていく。

 

以上から、「クラッシャー女中とは桃代であり、この物語は劇中で桃代によって上演された演劇。桃代はプロデューサーかつ脚本かつ演者」(=根本宗子さんそのもの)だったのかなって、わたしの中でやっと結論が。

 

そう思ったら母親にあんな風に言われた義則も、家を焼かれた華鹿男も乃恵留も、存在を消されたゆみ子も、みんな虚構の中のこと、本当に存在しないんだ。そう思えて。結局私が自分をラクにしたいための解釈なんだけども…。

 

 

ふぅ、やっとまとまった、吐き出せた。なんてしんどくて楽しくてエグいお芝居!!!

 

本日の島根公演、そして大千穐楽の広島公演が引き続き素晴らしいものになりますように。演者さんスタッフさん関係者各位が、怪我なく事故なく思い残すことなく駆け抜けられますように。